今月の「茶席の禅語」は、丑年最後の講座ということで『十牛図』。
十牛図は、中国の宋代に禅僧・廓庵師遠禅師によって書き表された10枚の絵。仏道修行の第一歩から活仏に至るまでの過程を十段階に分け、表現したもの。登場するのは牧童と牛、そして布袋様。牛は禅の「仏性」または茶の湯の「茶心」になぞらえ、牧童はそれを求める「修行者」になぞらえられている。
1.尋牛 ・・・ 牧童が牛を探す。
2.見跡 ・・・ 牧童が牛の足跡らしきものを見つける。
3.見牛 ・・・ 牧童が牛の声を聞きつけ、後を追う。
4.得牛 ・・・ 牧童は牛を捕える。牛は逃げようと暴れる。
5.牧牛 ・・・ 牧童は牛を飼いならす。
6.騎牛帰家 ・・・ 牧童は牛の背に跨り、笛を吹きながら家に帰る。
7.忘牛存人 ・・・ 牧童は悟りや茶心を得る。茶心を得たことすら忘れる。
8.人牛倶忘 ・・・ 迷いも悟りも抜け落ち、絶対的な空の世界、無の世界。
9.返本還源 ・・・ 何事もなかったように、有りのままの姿がのこるのみ。
10.入テン垂手 ・・・ 悟りを得た人は、他者に伝えなければいけない。
何かを修得しようとする時、意識してその事に対応するが、修得してしまえば、無意識で事を運ぶことができる。難しい引き柄杓も、修得するまでは意識して所作を行うが、一旦身に付けてしまえば、出来なかった時のことすら忘れてしまう。・・・と云うような感じかな。
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