2010年10月8日金曜日

茶室に風呂

4月から始まった『茶の湯と現代~焼き物の世界』の講座が、とうとう最終回を迎えてしまった。和物、唐物、高麗物、現代物と続き、最終回は今日庵文庫長・筒井先生の「日本の美意識と茶陶」で終了である。

話し好きの筒井先生は、まるで見てきたかのように桃山時代や江戸時代の話をされる。昔々の数寄者達を、まるで旧知の友人のようにリアルに話される。話題がアッチコッチに飛ぶため、頭を切り替え、ついていくのが大変であるが、その世界に入り込んでしまえば、こんなに楽しい茶談義はない。

昔の数寄者ナンチャラ銀行頭取は、倒産しかかった銀行を、自らの茶道具を売って負債に充て、見事経営を立て直したという話。昔の数寄者ナンチャラ少年は、15歳の時から茶道具を安く買っては高く売り、一生働くことなく、楽しく過ごしたという話。どの話も面白く、昔々は、お気楽に趣味に生きた粋人が、そこここに居たことを楽しく拝聴した。

また、本来は、茶室の近くには風呂があるもので、前席のおもてなし(給仕)で汗をかいた亭主は、後席の前に一風呂浴びて、着物を着替えて、さっぱりとしてから客の前に登場するものらしい。表向きはなんとも余裕を感じさせる行為ではあるが、さぞや裏方は大忙しであろうと、想像すると汗だくになってしまう。

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