今月の古典芸能は文楽 『花競四季寿』 と 『嬢景清八嶋日記』 を鑑賞した。
『花競四季寿』は、音楽的舞踊的要素の濃い作品。四季折々の情景を題材にして、春「万才」、夏「海女」、秋「関寺小町」、冬「鷺娘」で構成されている。太夫6名、三味線6名、他に鳴り物多数で奏でられ、賑やかであった。文楽には時々、狐や馬など動物が登場するが、人間が手で操るため、おちゃらけた感じになり勝ちである。今回は「海女」で蛸が登場したが、これがこれがフザケタ代物で、まるで幼稚園の学芸会かと見間違うようで、とっても楽しかった。暗い筋書きが多い文楽の中で、気の抜けるような笑いがあって気に入った。
『嬢景清八嶋日記』は、「花菱屋の段」と「日向嶋の段」が演じられた。「日向嶋の段」は、能の「景清」を基に、文楽用に書き下ろされたもの。14歳になった娘・糸滝は、2歳の時に別れ、今は盲目になったと聞く父・景清が一生不自由なく暮らせるよう座頭の官位を取らせるため、自ら身売りして金を作り、父探しの旅に出る。ようやく再開を果たすものの、父は娘を思い「景清は餓死した」と告げ、立ち去らせてしまう。父は娘を、娘は父を、それぞれ強く思うが故の結末は、何ともせつないものである。
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